Life

花火が打ち上がり、弾ける音が辺りを覆う。 刹那の光が暗闇を走り、都の形を浮き上がらせる。 夜の空に咲く大輪の花。 あちこちから人々の歓声が沸き起こる。 遠くから聞こえてくる音の波を、わたしは背中越しに感じている。 活気にあふれるお座敷に、和やかな笑い声が響く。 伝統の香りを残す畳の部屋。 蚊取り線香の煙が仄かに交わり、夏の風情を引き立たせる。 そして、三味線の調べがわたしたちを古の時代へといざなう。 わたしはあなたの様子を見つめながら、花札に興じる。 苦笑いをし、あなたは自分の手札とにらめっこ。 楽しそうにしている姿に、わたしも自然と笑みがこぼれる。 悠久の時を刻んできた古都。 それと比べれば、取るに足らない一瞬かもしれない。 でも、あなたにとって充実した時間になるなら。 わたしにとっても大切なひととき。 この時が、彩り豊かなものでありますように。