Life

雪深き地の小さな村。 その一室で、わたしは暖をとりながら日々を過ごす。 身体は寒さに負けじと熱を帯び、頬はほのかに赤く染まる。 凍てつく環境に身を置いて、できることはそう多くはない。 それでも少し華やかにと、リースを作り季節ならではの装いをする。 窓辺には、大切な人に貰った雪だるまを飾ってみた。 愛らしい姿にあの人を想い、不思議な温かみを感じながら。 そうしている間にも、冬はこの村を包み込んでゆく。 そして圧倒的な白銀で覆い尽くし、点在する家々と空を目指す樹林が かろうじて他の色を付け加えるのみとなる。 この雪の前では、なにもかもがちっぽけな存在でしかない。 動物たちも一時の眠りにつき、春の訪れを待っている。 舞い積もる氷の結晶は、あらゆる音をもれなく受け止め 山間に静寂をもたらしている。 ここだけ世界と切り離されたかのような、静かな大地。 その中に身を置いて、わたしの心も研ぎ澄まされてゆく。