Life
LIFE Episode 0011
graveyard
どんな時でも等しく月は昇る。 葉の落ちた木々の間から顔を覗かせ、淡い光で夜を灯す。 そして、窓辺や机の上のろうそくの火がかすかに燃え、 部屋に潜む影を揺らしている。 多くの先人がここに眠ることを示す墓標。 生を越えて辿り着いた安息の地。 時おり人々が訪れては、ありし日を偲ぶ。 楽しく、懐かしく、そして寂しく、名残惜しく。 たとえこの世界から離れても、その姿は人々の中で生き続けている。 静かに時を刻みながら、人々を見守っている。 月明かりが差す中で、わたしは言葉を綴ろうとする。 穏やかに調和された花瓶の花が、そっとわたしに寄り添う。 しかし、ペンを持つ手はその形のまま動こうとしない。 とめどなく溢れる想いを整理する術を知らず、 あの人のために白紙を埋める表現は出てこない。 わたしの心に、雨はまだ降り続いている。